東京ヴァルハラ異聞録

そして、その時は訪れた。


開戦のアラームが鳴り、地鳴りのような音と声が、光の壁から聞こえ始めたのだ。


西軍になだれ込む南軍の人間。


早くも最前線では衝突が起こり、怒号と悲鳴、そして血が辺りに飛び散っていた。


「きやがったな。良いか結城!雑魚は最悪スルーしてもいい。だがな、強いやつだけはここで食い止めろ!俺達が抜かれたら、キングまで守りはねぇと思って戦え!」


嵐丸さんの雰囲気が変わる。


戦闘となれば、女にデレデレしているわけにもいかないというわけだ。


「だってさ。頼りにしてるよ、沙羅」


「うん、頑張ってみる」


と言っても、やっぱり沙羅は自分からは攻撃しないだろうな。


戦いたくて戦っている子じゃないから。


西軍にいるからか、左腕がうっすらと見え始めて来た。


しばらくしたら、完全に元通りになるだろう。


改めて、自軍で戦う恩恵は大きいと思えた。


そんな事を考えている間にも、前線は徐々に後退して行く。


強いやつが先陣を切っているのか、南軍が西軍の人の壁を越えるのは時間の問題だ。


「そろそろだな。さて、裏切り者と敵軍の死神……これで下手打てば、俺もタダじゃ済まないな」


そう言いながらも、嵐丸さんは笑いながら金棒を肩に担いだ。