東京ヴァルハラ異聞録

「しかし死神が……こんなに可愛い……さすがにタケさんに……いや、でもここは……」


沙羅をチラチラ見ながら、何やらブツブツ呟いている嵐丸さん。


ギャップ萌えというやつか、賞金ランキング1位の死神が、まさかこんなにふわふわしている可愛い女の子だとは思わなかったのだろう。


「嵐丸さん。でも大丈夫ですかね?沙羅は北軍……防衛の人間が沙羅を攻撃しないとも限らないでしょ?」


協力してくれるとは言え、一応「敵」なわけだから、その心配はある。


「あ、ああ……そうだな。ちょっと待ってろ」


そう返事をすると、嵐丸さんはPBTを取り出して、それに向かって口を開いた。


「あー、ここに北軍の死神がいる。だが、今は俺達の味方だ。間違っても攻撃するんじゃないぞ。死神に手を出したやつは、俺がぶち殺すからな。そのつもりでいろ」


嵐丸さんの声が、俺のPBTからも聞こえた。


いや、俺だけではなく、この近くにいる西軍のPBTからも。


沙羅のPBTは静かなもんだったけど、それはやはり軍の違いがあるからなのか。


「ありがとうね、嵐丸くん」


「べ、別にお前の為じゃない。戦力を無駄に減らしたくなかっただけだ」


そうは言いつつも、嵐丸さんは沙羅から顔を背けて、嬉しそうにニヤニヤしていた。