東京ヴァルハラ異聞録

「影が緑……お前、北軍の人間か。つまり、やっぱり結城は裏切り者だったという事になるわけか」


嵐丸さんが沙羅を見て、手にした金棒を地面に叩き付けた。


「ま、待ってください嵐丸さん!!沙羅は……沙羅は違うんです!」


慌てて止めようとするけど、その名前を聞いて嵐丸さんの表情はますます強ばる。


「沙羅……黒崎沙羅!死神か!?」


「そうだけど違うんです!!沙羅は……ただ友達に会いたくてここにいるだけなんですよ!」


「そんなの信じられるかよ!こいつが暴れ出したら、南軍の侵攻どころじゃねぇ!結城昴……お前はとんでもねえやつと繋がってるみたいだな!」


金棒を構え、今にも沙羅に襲い掛かりそうな嵐丸さん。


「だ、大丈夫ですって!!沙羅は戦いたくて戦ってるわけじゃないんですから!!俺が一緒に防衛してくれるように頼みますから!」


これじゃあ、裏切り者と言われても仕方がないよな。


北軍の人間を庇って、西軍の人間に武器を下ろすように言ってるんだから。


「え?私が西軍の防衛をするの?うーん……昴くんのお願いなら、聞いてもいいよ」


必死に嵐丸さんを宥める俺の背後で、沙羅がそう言った。