東京ヴァルハラ異聞録

俺がそう言うと、嵐丸さんはさすがに訝しげな表情を俺に向けて。


「……タケさんよりも強いやつを、俺は知らない。本当にそんなやつがいるとは思えないな。一体誰だそれは」


嵐丸さんは、さっきの騒ぎを見ていなかったのかな。


見ていたらわかるはずなんだけど。


「ちょっと待ってください。この辺りにいるはずなんですけど……」


ビルの上にいるのかと辺りを見回して……それらしい人影を見付けて、俺は手を振った。


沙羅が見たら、この状況は理解出来ないだろう。


そんな俺に気付き、沙羅がビルから飛び降りて……フワリと俺の前に舞い降りた。


「昴くん、無事だったのね。良かった……」


嬉しそうな笑顔を俺に向けるけど、左腕が切断されて、無事とは言い難い。


それにしても……いつも羽織っていたローブはどこにやったんだ?


パッと見、可愛らしい女の子というような、ふんわりとした服装だから沙羅とわからなかった。


「あの女の子はちゃんと帰したからね。服があんなだったから、ローブをあげたけど……私に間違われなきゃいいんだけど」


そういう事か。


それにしても、西軍の人間がうようよいる中で、無防備に降りてくる沙羅は怖いもの知らずだな。