東京ヴァルハラ異聞録

この男に連れられて、南軍の側の光の壁までやって来た。


奇しくもそこは、沙羅と待ち合わせしていた昭和通り。


ここが一番広い道路で、侵攻する南軍の数も一番多い場所という事で、防衛につく人達も多い。


「さてさて。悟と愛美が抜けた穴を、お前がどこまで埋めてくれるかだな。俺達の役割は、雑兵じゃあ勝てない敵の相手だ。南軍の朝倉、伊良辺りは来るとは思わないけど、強いやつは見ればわかる」


あの日、悟さんが有沢と戦っていたのは、きっとこれだったんだろうな。


「えっと……あなたは……」


そう言えば名前を聞いてなかったから、どう呼んで良いかわからない。


それを察したのか、男は正面を向いたまま、口を開いた。


「吉瀬嵐丸(キセ ランマル)。で?何を言おうとしたんだ?」


話はしてくれるけど無愛想……そんな印象だけど、今はどうでもいい。


いつ、俺を殺そうとするかわからない人だから。


「えっと、この近くに俺の友達がいるんですけど。俺が頼めばもしかすると協力してくれるかもしれないんです」


「……雑魚が増えても足止めくらいにしか使えないけどな。そいつはどれくらい強いんだよ」


「それは……多分、この街で一番強いかと思います」