東京ヴァルハラ異聞録

確かに、この人からは愛美のような殺意は感じないけど、どこまでその言葉を信じて良いのか。


裏切り者は許さないんだろ?


だったら、俺は許される存在ではないはずだけど。


「なんでって顔してるな?話は簡単だ。俺達はキングを破壊されるわけにはいかねぇ。ここでお前を殺す事は簡単だけど、愛美がいない今、防衛は猫の手も借りたいくらいなんだよ。だからお前が防衛につくなら、俺はお前が裏切り者だろうが構わない。ただそれだけだよ」


確かにわかりやすい話ではあるけど……それを簡単に割り切れるこの人は凄いな。


今、仲間を殺した人間なんだぞ、俺は。


「裏切り者と呼ばれて、愛美を殺したんですよ。そんな俺を信用出来るんですか?」


俺自身は裏切ったつもりはないけど、状況的にはそうなっているはずなのに。


「次は俺を殺すかもしれないって?やれるならやってみろよ。お前程度のやつは、今まで数え切れないほど殺してるんだ。お前じゃ……俺は殺せない」


その言葉は……脅しでも何でもない。


篠田さんに匹敵するくらいの殺意を、その目に感じて身体が一瞬動かなくなった。


ただ、事実を淡々と述べているに過ぎないと判断するには十分なものだった。