東京ヴァルハラ異聞録

大きく深呼吸を一つ。


日本刀を構え、攻撃に備える為に腰を落とす。


俺には、圧倒的に戦闘経験が無さすぎる。


日本刀の強さで勝ちを拾えているだけで、俺自身がまだ日本刀の強さに追い付けていない。


だけど、それを言い訳には出来ない戦いばかりだ。


「観念したか?それとも、覚悟を決めたか。どちらにしても同じだけどな!」


さっきと同じく、縦に叩き付ける攻撃。


考えている暇なんてなかった。


同じように右側に避け、愛美に向かって走る。


「バカの一つ覚えみたいに!!」


そして、また身体を回転させて鞭を横に振る。


俺は体勢を低くしてそれを回避すると同時に、日本刀を頭上に上げて鞭を斬り付けた。


タイミングはバッチリ!


だが、鞭は切断出来ず、日本刀に絡み付いたのだ。


「その程度の武器で私の鞭が斬れるか!」


回転を止め、グッと鞭を引いた愛美。


日本刀が……手から離れる。


「……だったらいらない!!」


俺は日本刀を手放し、左手で取り出した鞘を振り上げて愛美に飛び掛かった。


虚を突かれた……といった様子で、驚いた表情を浮かべた愛美は、慌てて鞭を持った右手を振り上げるけれど。


俺の鞘が、愛美の右腕に叩き付けられた。