東京ヴァルハラ異聞録

人一人抱えて、武器を手にしている人もいる中で、素早く頭を足場に移動する沙羅を見て、確かにこれは俺の手助けなんて必要ないと思った。


沙羅に教えてもらって、移動のコツは掴んだから、俺だって出来るはずだ。


ステージまで跳ぶ時にもやったんだから。


跳び上がり、人々の頭部を踏み付けて沙羅の後に付いて行く。


そして、人がまばらになった所まで来た時だった。


「これで最後……って!うわっ!」


飛び降りようと着地の体勢に入った時、何かが足に巻き付いて、俺は地面に叩き付けられたのだ。


「昴くん!大丈夫!?」


「お、俺は大丈夫!早くその子を!後で行くから!」


沙羅は一瞬立ち止まったけれど、ここで俺を助けに戻れば女の子がまた捕まるかもしれない。


そう考えたのだろう。


小さく「待ってる」と呟いて、女の子を担いだまま走り去ったのだ。


なんて、格好を付けてみたものの……。


「う、うわっ!!」


足に絡み付いた何かが俺を引っ張って、歩道に植えられた街路樹に激突してしまった。


「やっぱり……あんた裏切り者だったね。死神なんて大物とつるんでるなんて思いもよらなかったけど」


俺の足に巻き付きたのは鞭。


そして、それを持っているやつ。