東京ヴァルハラ異聞録

地面に着地をする事が出来ない。


人の上に墜落してしまう。


そう考えた俺は、体勢を整えて、足の裏に再び意識を集中する。


ステージに釘付けの観衆の中に落ちる瞬間。


俺は、落下点にいた人の頭部を踏み、ステージに向かって再び跳び上がった。


足の下で、グチャッという音が聞こえて、なんとかステージまで辿り着いたけれど……上手く着地は出来ず、ステージ上を転がってなんとか動きを止めたのだ。


「昴くん!?待っててって言ったのに!」


「いてて……こんな状況で、黙って見てるなんて出来るわけないだろ!」


とは言ったものの……どうすれば良いかわからない。


沙羅を助けなきゃと思って飛び出したけど、女の子を一人連れて逃げ出すには少々厳しい状況だ。


「もう。無鉄砲なんだから。だけど……ちょっと嬉しいかな」


こんな状況でも、フフッと笑う沙羅。



「おい、あいつ……西軍だろ!!どうして俺達の邪魔をする!!裏切りか!?」


「あいつもぶっ殺せ!!」




ただでさえ裏切り者だって言われているのに、これでいよいよ本格的な裏切り者だな。


「どうする沙羅。逃げるにしても、女の子を連れてこの人数を相手にするのはさすがに……」