東京ヴァルハラ異聞録

この大人数が相手だ。


もしも女の子を助けたとして、ここにいる全員を敵に回しかねない。


さらに言えば、戦ったとしても、同じ軍の人間を殺しても何のメリットもないんだよな。


『どうしたどうした!悩んでんのか!?仕方ねぇなスケベ共!これを見てもまだ悩んでいられるか!?』


そう言うとMCは、女の子に近付いて、ナイフを取り出すとブラウスとブラジャーを切り裂いて見せたのだ。


大きな乳房がボロンと露出し、MCがさらに服を開いて見せた。


それと同時に湧き上がる観客達。


女の子は必死に抵抗するけど、男に押さえ付けられて身動きが取れないでいた。


『30000!34000!おっと40000が出たぞ!!他にはいないか!?決まっちゃうよ、決まっちゃうよ!!よし決まり!!そこのスケベな紳士、壇上に上がりな!』


これが、当たり前のように行われてるのかよ。


この世界では当然の事なのかもしれないけど……これではあまりにも。


怒りに震え、日本刀を握り締めて飛び出そうとした時。


「……昴くんはここで待ってて。ただでさえ疑われてるのに、これ以上疑われたくないでしょ? 私が……あの子を助ける」


俺の腕にそっと手を添えた沙羅が、屋上の縁に足を掛けて跳び上がったのだ。