東京ヴァルハラ異聞録

「ごめんごめん。沙羅のせいだよね。だったら、沙羅と一緒に来る?」


予想外の提案に、俺は戸惑った。


沙羅と一緒にいれば、そう簡単に殺される事はないだろう。


だけどそれは、疑われていた沙羅との関係が、疑いようのない事実になってしまうわけで。


篠田さん達を……西軍の人間を完全に敵に回すという事だ。


「今すぐは……答えが出せないよ。わかるだろ?俺は西軍で、沙羅は北軍なんだよ」


「?わかんないよ。沙羅も昴くんも、同じ人間でしょ?それに、西軍と北軍だからって言うなら、どうして昴くんは沙羅を殺さないの?どうして昴くんは西軍の人達に追われてるの?」


俺の隣に腰を下ろし、不思議そうに首を傾げて見せる。


「……沙羅と話してると、何が正しくて何が間違ってるかわからなくなるよ。形だけでも西軍は味方で、沙羅は敵ってなってるんだよな。だから、西軍に不利になる行動を取ると、裏切り者になっちゃうんじゃないのか?」


「違う違う、そうじゃなくて。昴くんは何の為に戦ってて、それは敵とか味方とか関係あるの?私はさ、真由に会って、二人で元の世界に帰りたいなって。それって敵も味方も関係ないと思わない?」