東京ヴァルハラ異聞録

ここには身を隠すような場所がほとんどない。


まだ二人がいるなら、俺をすぐに見付けられるはずだけど……。


「やっぱり、もういないのかな。弱ったな」


そう呟いて、頭を掻いた時だった。






「なんだよ。どこかで見た顔だと思ったら……お前も来たのかよ」






その声に驚き、辺りを見回すと……いつの間にそこにいたのか、一人の男がブランコに座っていたのだ。


影が緑色のその男はいつの間にそこに……いや、そうじゃない。


それも確かに驚いたけど、俺が驚いたのは……。


「まさか……お前、拓真!」


「正解、俺は拓真だ」


そう答えて、ブランコを漕ぎ出したのだ。


キコキコという音が響き、前後に揺れる。


まさか、拓真が北軍にいたなんて。


こんな街で友達に会えた喜びもあるけど、それより俺はどうしても言いたい事があった。


「拓真!!お前、どうして俺をこんな世界に呼び寄せたんだよ!おかげで俺は!!」


ブランコを漕ぐ拓真に近付き、まず最初に聞きたかった事をぶつけた。


「お前をこの世界に呼んだのは俺じゃねぇ。俺の姿をした別のやつだろ?お前が当たり前の生活を楽しんでる間、俺はこの街で死に物狂いで戦ってたんだからさ」