東京ヴァルハラ異聞録

舞桜が指さした方向だと、浅草方面……のはずだよな。


だとすれば、きっとそこで待っているに違いない。


「ありがとう舞桜!じゃあ、元気でな。頑張って生きろよ」


そう言って、俺は舞桜に笑顔を向けて整骨院から出た。


「あ、ちょっと!」


何か呼び止められたような気がしたけど、これ以上いたら情が移ってしまいそうで。


俺は西軍の人間で、舞桜達を守り切れる保証がない。


秋本の強さを目の当たりにして、あんなやつと当たれば抵抗する事も出来ずに殺されてしまうという恐怖があったから。


舞桜は、今まで生きてきた強い子だから。


そう、自分に言い聞かせるしかなかった。


外に出ると、西軍の人間も北軍の人間もほとんどいない。


前線はさらに奥へと進んだのだろうか。


だったら、今がチャンスか。


総力戦が終わる時に、撤退する人達を待ち伏せするだろうけど、まだ時間的には早いはずだよな。


PBTを取り出し、画面を確認すると、まだカウントダウンは始まっていない。


「困ったよな。こんな事なら、悟さんに付いて行くんだったよ」


周囲を確認し、舞桜に教えてもらった公園へと急ぐ。