東京ヴァルハラ異聞録

しばらくして、俺の左腕が元に戻って自由に動くようになった。


グッと手を握り締め、曲げたりすると、元の腕と何も変わらない。


「よし。これなら何とかやれるかな」


いつの間にか長椅子に座っていた舞桜は、俺のその姿を見て。


「治ったなら、早く出て行って。ここは私達の居場所なんだから」


そう呟き、寂しそうな表情を見せた。


「ありがとうな、舞桜。また、北軍に侵攻する事があったら、様子を見に来るよ。だから、強く生きろよ」


既に俺よりも随分強く生きている舞桜に対して、こんな事を言うのもどうかと思うけど。


「ふ、ふん。来なくて良いし。次来たら、今度こそ殺してやるんだから」


口を尖らせて、プイッと顔を背けた舞桜。


それが本心じゃないって事もわかる。


「かなり遅れたな……悟さんと梨奈さんは待っててくれてるのかな」


あれから40分は経過している。


こんなに大遅刻をしたなら、普通なら待っていてはくれないだろう。


「……あ、そうだ。この辺りに公園はあるかな?友達が待ってるから行かなきゃならないんだけど」


「公園?ここから二つ向こうの筋に公園はあるけど……」