東京ヴァルハラ異聞録

「はは……ありがとう。俺は大人じゃないからな。高校生だし」


話から察するに、この子は大人達に酷い目に遭わされて来たのだろうか。


「……杉下舞桜(スギシタ マオ)。私の名前は舞桜。あんたが聞いてもいないのに名前を教えるから。教えたくなかったけど教えなきゃならないじゃない」


素直じゃないなと思ったけど、少し照れたような表情を浮かべている姿は可愛い。


俺に妹がいたら、こんな感じなのかなと、ふと思ってしまう。


出来れば、もっと素直で慕ってくれる方が良いけど、現実はそんなに甘くないのだろうな。


「じゃあ舞桜。さっき、大人は卑怯で嘘つきって言ってたけど、何かあったの?まあ、この街にいたらそう思うのも仕方ないか」


この街では特にそれを顕著に感じてしまうだろうな。


人と人が殺し合うくらいだ。


卑怯にならなければ、嘘をつかなければ生きられない人だっているだろうし。


それが舞桜みたいな子供達を悩ませる事になっているのは可哀想だ。


「……何か。なんてもんじゃないよ。大人があてにならないから、子供が助け合って生きなきゃならないの。子供は大人の道具じゃないんだから」