東京ヴァルハラ異聞録

素手で殴っただけでは、大したダメージではない。


しかし、凄まじい勢いで接近したのなら話は別だ。


カウンター気味に入り、一瞬高山真治の身体がグラついたが、そこは並の相手ではない。


前に出した俺の足を蹴り、身体を捻りながら、反対側の足で俺の顔を蹴ったのだ。


その攻撃に仰け反りながらも、何とか耐えたけど、その間にも高山真治は体勢を立て直し、俺に日本刀を向けた。


「強い……さすがは高山真治」


「期待を裏切らなくて良かったよ。キミにはもっと……うわっ!」


慌てて飛び退いた高山真治。


その原因は……俺の目に飛び込んで来た。


恵梨香さんがトンファーを握り締め、高山真治に向かってそれを振るっていたから。


「……昴少年。私は情けないな。人を信じろと言った私がこれでは。そうだ、私達は多くの人達に信じられてここに来たのだ。それを邪魔するなら、たとえ真治少年でも戦わねばならない。こんな世界を、求めているわけではないだろうからな。覚悟は良いか、高山真治」


悲しみを乗り越えて……恵梨香さんが戦闘に参加した。


高山真治との因縁を考えると、戦いたくはないと思うだろうに。