東京ヴァルハラ異聞録

「いてて……くそっ!なんなんだよこいつ!!手も足も出ないってか!?」


拓真がそう言って立ち上がったが、俺すらこの動きに付いて行けない。


まるで……以前指導を受けた時のように、一方的にいたぶられているようだ。


「どうした?キミなら、俺を超えられると思ったんだけどな。結城昴、キミがやらなければ仲間が死ぬ。今はそういう戦いなんだよ。願いに見合った犠牲は必要……そういう事なんだよ」


「俺は……いや、俺達は負けませんよ!俺達が元の世界に帰してくれる……そう信じてくれた人達の想いを無駄に出来ない!!たとえ相手があんたでも、それを邪魔するなら斬り捨てるっ!!」


この人を相手に、無闇に日本刀を振り回してもダメだ。


一撃必殺……隙を見付けて、一撃を入れる。


再び日本刀を鞘に納め、鍔を覆うようにしてそれを左手で持った。


「……いい気迫だ。じゃあ、続きを始めようか」


そう言うより速く、俺に日本刀を振るった。


だが、正面からの攻撃を受け止められないほど弱くはない!


左手の日本刀を掲げ、その攻撃を受け止めた。


瞬間、右から鞘が振られ、俺の腹部にめり込んだ。


「ぐっ!!」


それでも、吹っ飛ばされないように耐え、握り締めた右の拳を、目の前にいる高山真治に向けて叩き付けたのだ。


バキッという音が聞こえ、その顔が左側を向く。