東京ヴァルハラ異聞録

「ほら、俺は何もしない。友達が待ってる場所に行かなきゃならないんだ。この腕が治ったら出て行くから、それまで休ませてくれると嬉しいかな」


よく見ると、切断されたはずの左腕が、うっすらと透き通って見える。


こういう治り方をするのか。


「うるせぇ!敵のくせに何言ってんだ!俺がやっつけてやるぞ!」


「天馬!待って。本当に、私達を殺さない?」


男の子を止めた、中学生くらいの女の子。


「本当に。さすがにさ、子供は殺せないよ」


そう言った俺を、疑うような眼差しで見詰める女の子。


敵の言う事なんて、信じろって言う方が無理だよな。


俺なら、自分より年上の人間が「殺さないから大丈夫」って言って近付いて来ても嘘だとしか思わないから。


「……わかった。でも、この部屋じゃなくて待合室にいて。天馬と美優から離れててほしいの」


どうやら……追い出されなくて済んだかな。


少なくとも建物の中にいれば、余計な戦闘は避けられるだろうから。


「あ、ありがとう」


「見張りで私が付くからね。武器を取り出したらすぐに殺す。それでもいい?」


「わ、わかった」


幼さの残る顔なのに、強い意思を感じた。


NOと言わせない強さを。