これまでも喧嘩は何度もしてきた。 どれも些細なものだった。 お互いに恋愛が下手くそで、だけど、お互いにお互いを好きだったから、喧嘩のたびに仲直りをした。 「別れる」なんて選択肢が出たのは、今日が初めてだった。 暖房をつけているはずなのに、部屋の中がやけに冷たく感じる。 ぽたり、ぽたり、とフローリングにシミを作る涙が、止めどなく溢れた。 もう、ダメかもしれないって思った。 ううん、きっともうダメなんだって、そう思ったから涙が溢れて止まらないんだ。 「うっ、ふ、ぅっう………」