やさしいキスをして

 電話を切ってから1時間位して、タモリんが横浜のマンションにビールとツマミを持ってやって来た。


 すぐに身体の関係になることはなかった。
   それでも『不倫』という
     関係にまでなるのに
   それほど時間は必要なかった。


お互いの結婚生活はほとんど破綻(はたん)状態だったのだから。


 わたしの場合、旦那は4年も前に出て行ったきり、盆と正月みたいなもので、年に数回帰ってくる程度で、帰ってきたからといって会話もなければ当然夫婦としての関係もない。


 保にしても、家庭の中では『パワハラ』『逆セクハラ』『モラハラ』と三大ハラスメントのオンパレードで奥さんの奴隷(どれい)()しているのが現状のようだった。


部屋に来てすぐにビールを開け


「プハーッ!うめえ!」
 と涙目で叫んだ保が
  可愛くていじらしく見えた。


その頃の自分とだぶらせていたのだ。