転生公女はバルコニー菜園に勤しむ

 翌朝。バルコニーに膝をつき、シャーリィは顔を曇らせた。
 ミニトマトは続々と収穫している一方、ナスのほうは芳しくない。あれからまた花がついたが、どれも実がつく前に花を散らしている。

(風は吹いているから、受粉は問題ないと思うんだけど……)

 正直、お手上げだ。何がよくて何が悪いのかがわからない。
 自分にナスはまだ早かったのかもしれない。諦めに似た心境で水やりをしていると、不意に視界に紫色がよぎった。

(ん……?)
 
 目を凝らすと、一番上についた花の先に丸みを帯びた紫があった。信じられない思いで指を伸ばすと、確かな感触が返ってくる。
 感動に打ち震えながら、その場でうずくまる。

(やった……! 初めて実がついたわ!)

 理由はわからない。だが、しっかりと実がついている。
 嬉しさに涙ぐんでしまう。日の光が染み渡るように、ぽかぽかと胸が温かくなった。