「……え?」
幻が話しかけてきたと思って目をこすると、そこにはトルヴァータ帝国の民族衣装に身を包んだアークロイドがいた。
「アークロイド様にルース様も。どうして……」
表情をなくしたシャーリィに、アークロイドがそっと微笑みかける。こないだ見た社交用の笑みではなく、肩の力を抜いた自然な笑みだった。
「ダリアに、時間があれば顔を出してほしいと頼まれたからな。誰が見ても、君は働き者の公女だ。もう少し肩から力を抜け。見ているこっちがハラハラする」
「その節はご迷惑をおかけしました……」
「人手不足だからこそ、無理は避けるべきだ。あとあと響くからな」
「ご忠告、痛み入ります」
耳が痛いと萎縮していると、ふと声色が変わる。
「まあでも、ツアーのガイド役もいい経験になった。母国にいたら、あんな機会は訪れなかっただろう。その意味で言えば、俺は君に感謝しないといけないのかもしれない」
「……あのときは、私より人気者でしたね。軽く嫉妬しそうでしたよ」
「プロにそう言われては悪い気はしないな」
企みが成功したように口角を上げるのを見て、シャーリィも笑ってしまう。
(私は、私にできることをしよう)
余計なことは考えない。温泉宿の従業員であるシャーリィができることは、客の期待に応えることだ。
(今日集まってくれた皆のためにも、観光課の仕事もバリバリこなさなきゃ……!)
明日からはいつものシャーリィに戻る。元気だけが取り柄の貧乏公国の公女。だけど、自分の周囲にはこんなに優しい人たちがいる。もう彼らに心配をかけたくない。
まずはこの料理を完食して、いつも話せない人ともたくさんお喋りをしよう。そして、感謝を伝えたい。
幻が話しかけてきたと思って目をこすると、そこにはトルヴァータ帝国の民族衣装に身を包んだアークロイドがいた。
「アークロイド様にルース様も。どうして……」
表情をなくしたシャーリィに、アークロイドがそっと微笑みかける。こないだ見た社交用の笑みではなく、肩の力を抜いた自然な笑みだった。
「ダリアに、時間があれば顔を出してほしいと頼まれたからな。誰が見ても、君は働き者の公女だ。もう少し肩から力を抜け。見ているこっちがハラハラする」
「その節はご迷惑をおかけしました……」
「人手不足だからこそ、無理は避けるべきだ。あとあと響くからな」
「ご忠告、痛み入ります」
耳が痛いと萎縮していると、ふと声色が変わる。
「まあでも、ツアーのガイド役もいい経験になった。母国にいたら、あんな機会は訪れなかっただろう。その意味で言えば、俺は君に感謝しないといけないのかもしれない」
「……あのときは、私より人気者でしたね。軽く嫉妬しそうでしたよ」
「プロにそう言われては悪い気はしないな」
企みが成功したように口角を上げるのを見て、シャーリィも笑ってしまう。
(私は、私にできることをしよう)
余計なことは考えない。温泉宿の従業員であるシャーリィができることは、客の期待に応えることだ。
(今日集まってくれた皆のためにも、観光課の仕事もバリバリこなさなきゃ……!)
明日からはいつものシャーリィに戻る。元気だけが取り柄の貧乏公国の公女。だけど、自分の周囲にはこんなに優しい人たちがいる。もう彼らに心配をかけたくない。
まずはこの料理を完食して、いつも話せない人ともたくさんお喋りをしよう。そして、感謝を伝えたい。



