転生公女はバルコニー菜園に勤しむ

 朝食の席を後にすると、廊下で見慣れた灰色の短髪が目に入った。騎士服をまとった長身の男はシャーリィに気づくと、その場で頭を下げた。

「フランツ、おはよう」
「おはようございます。公女殿下、大公夫妻から伝言を預かっております」

 フランツがキリリとした表情で言い、つられて背筋を伸ばす。

「まあ、何かしら?」
「本日の十一時、緊急の打ち合わせがしたいとの仰せです。執務室においでくださいますようお願いいたします」
「わかったわ。伝えてくれてありがとう」
「いえ、これが仕事ですので」

 用件を伝え終わったからだろう。フランツはくるりと足先を反転させ、すたすたと来た道を戻っていく。
 急いで伝言を伝えに来てくれたことに感謝しつつ、シャーリィも職場へと向かう。
 今日は久しぶりに観光課で書類作りだ。