「……そんなものをどうするんですか?」
「俺が代わりのガイドになる。ルースにも手伝ってもらうから心配はいらない」
数秒、言われたことを脳内で繰り返し、シャーリィは耳を疑った。
「は!? いやいや、何を言っているんですか。練習もしていないのに、代役なんてこなせるわけないでしょう」
「俺は記憶力には自信がある。これでも皇族の端くれだ。社交のスキルも問題ない。足りない知識は資料で補強すれば大丈夫だ」
強気な発言にどうしたものかと言葉に詰まる。
目の前の男は、海の大国から来た上客。別館の最上階を利用する一番の賓客だ。
何度か裏方の仕事を手伝ってもらったことはあるが、今回の手伝いは今までのものとはまるで違う。どんな事情であれ、レファンヌ公国の顔として公に出すわけにはいかないだろう。
第六皇子とはいえ、彼はトルヴァータ帝国の皇子なのだから。
「で、でも……お客様にそんなことをさせるわけには……」
「その熱は、昨日俺をかばって水に濡れたせいだろう。だったら俺にも責任がある。そして俺は時間を持て余している。代役にはこれ以上ない人材だと思うが?」
「……いやいや、やっぱり無理ですって。大丈夫です、私これでも丈夫なので。少しくらい無理をしてもへっちゃらです!」
幸い、熱はそこまで高くない。多少ボーッとすることはあるかもしれないが、何とかやれないことはないはずだ。いや、うまくやってみせる。
(だって、私の代わりはいないんだし!)
自分が頑張らなくてどうするのか。そう意気込むシャーリィの心の中をのぞきこんだように、アークロイドが冷静な顔で言葉を続ける。
「だが、お前の代わりはいないのだろう? もしシャーリィが足を踏み外して頭を強打したとして、打ち所が悪かったらどうなる? 今日の代わりは目の前にいても、明日からの代わりはどうなる?」
最悪の展開を予想してみろ、と言わんばかりの声に、シャーリィは白旗を揚げた。
「…………お願いできますか?」
「パイシチューで手を打とう」
不敵に笑うアークロイドの顔は、まるで勝利を確信した魔王のようだった。
「俺が代わりのガイドになる。ルースにも手伝ってもらうから心配はいらない」
数秒、言われたことを脳内で繰り返し、シャーリィは耳を疑った。
「は!? いやいや、何を言っているんですか。練習もしていないのに、代役なんてこなせるわけないでしょう」
「俺は記憶力には自信がある。これでも皇族の端くれだ。社交のスキルも問題ない。足りない知識は資料で補強すれば大丈夫だ」
強気な発言にどうしたものかと言葉に詰まる。
目の前の男は、海の大国から来た上客。別館の最上階を利用する一番の賓客だ。
何度か裏方の仕事を手伝ってもらったことはあるが、今回の手伝いは今までのものとはまるで違う。どんな事情であれ、レファンヌ公国の顔として公に出すわけにはいかないだろう。
第六皇子とはいえ、彼はトルヴァータ帝国の皇子なのだから。
「で、でも……お客様にそんなことをさせるわけには……」
「その熱は、昨日俺をかばって水に濡れたせいだろう。だったら俺にも責任がある。そして俺は時間を持て余している。代役にはこれ以上ない人材だと思うが?」
「……いやいや、やっぱり無理ですって。大丈夫です、私これでも丈夫なので。少しくらい無理をしてもへっちゃらです!」
幸い、熱はそこまで高くない。多少ボーッとすることはあるかもしれないが、何とかやれないことはないはずだ。いや、うまくやってみせる。
(だって、私の代わりはいないんだし!)
自分が頑張らなくてどうするのか。そう意気込むシャーリィの心の中をのぞきこんだように、アークロイドが冷静な顔で言葉を続ける。
「だが、お前の代わりはいないのだろう? もしシャーリィが足を踏み外して頭を強打したとして、打ち所が悪かったらどうなる? 今日の代わりは目の前にいても、明日からの代わりはどうなる?」
最悪の展開を予想してみろ、と言わんばかりの声に、シャーリィは白旗を揚げた。
「…………お願いできますか?」
「パイシチューで手を打とう」
不敵に笑うアークロイドの顔は、まるで勝利を確信した魔王のようだった。



