転生公女はバルコニー菜園に勤しむ

 体勢を崩したアークロイドの腕をとっさにつかみ、力任せに引っ張る。反動でアークロイドとシャーリィの位置が入れ替わり、続いてバシャンと水音がした。

「大丈夫か!」
「……平気です。アークロイド様が無事でよかったです」

 川の中に座り込む形で、シャーリィはへにゃりと笑った。自分の服を見下ろすと、おもむろに水を被ったせいで、服はぐっしょりと重量を増している。

「ルース! 服か、何か包むものを借りてきてくれ」
「御意」

 一礼し、素早い動きでルースが去っていく。アークロイドはその場に膝をつき、ため息をついた。

「まったく、無茶をする……」
「だって、お客様に怪我はさせられませんから」
「……歩けるか?」
「幸い、足はくじいていませんので問題ないです。ロッジに戻りましょう」

 アークロイドが手を差し出し、シャーリィはその手をつかむ。力強い腕に引っ張られ、立ち上がった。水を吸った服から、ひたひたと水滴がしたたり落ちる。

「風邪を引く前に着替えたほうがいいな。それに身体を温めないと」
「そうですね……」

 ロッジに戻ると、毛布と着替えを用意したルースに出迎えられた。シェフが温かいコーンスープを作ってくれており、それで冷えた身体を温める。
 馬車で帰る道中もアークロイドはしきりに体調を気にしてくれ、ちょっと立場が逆転しているなと感じるシャーリィだった。