転生公女はバルコニー菜園に勤しむ

 食後の運動に白鳥の足こぎボートに乗り込み、シャーリィはアークロイドとともにせっせとペダルを漕いでいた。ちなみに、ルースは乗員オーバーのため、桟橋で待機中である。

「これは……見た目より意外と大変なのだな」
「私も久しぶりに乗りましたが、あまり長くはできそうにありません……」
「疲れたのなら休んでいいぞ」
「で、ですが……アークロイド様にばかり頼るわけには」

 ここはシャーリィが頑張るところだ。しかし、すでに足がつりそうなのも事実。表情を暗くさせると、アークロイドが肩に手を置いた。

「回復したら、交代というのはどうだ? それまで、ハンドルさばきは任せる」
「……ぐるりと一周するので構いませんか?」
「ああ、それでいい」

 役割分担を終え、シャーリィはハンドルを握った。しかし、思ったコースに行けず、何度も岸辺にぶつかってしまう。

「もう、そっちじゃないのに!」
「…………」
「え、あれ、どうして反対側に行っちゃうの!?」
「…………」
「というか、アークロイド様! さっきから横で笑っているの、ちゃんとわかっているんですからね!」

 抗議の声を上げると、アークロイドは目尻にたまった涙をぬぐった。

「ふっ……いや、お前が面白いのがいけないんだ。全然前に進めていないだろう」
「む、難しいんですよ。方向転換するの!」
「もう見ていられない。変わってくれ」

 おとなしくハンドルを譲ると、すーっと前に白鳥が進んでいく。さっきまでのジグザグ走行は何だったのかというほど、華麗なハンドルさばきだ。減速のタイミングもちょうどいいのだろう。

(むむむ、これは敵わないわ……)