数年前に改築された木の家は、大勢の観光客にも対応できるよう、少し広めに作ってある。住み込みで働いているシェフのもとに貸し切りのことを伝え、数人分余分に代金を払う。
「お待たせしました。メニューはその日の仕入れによって異なりますので、基本的にシェフお任せとなっておりますが、何かご要望はありますでしょうか?」
湖が見える窓際の席で待っていたアークロイドたちに問いかけると、案の定、首を横に振られた。
「特にはない。腹を満たせられれば、それで問題ない」
「さようでございますか」
あまり期待はされていないような口ぶりに、シャーリィは内心歯がみしそうになる。
(くっ……弱小国だと侮られている気がするわ! 石窯で焼き上げたピザのとりこになるがいいわ!)
負け惜しみを心の中で叫んでいると、湖を見つめていたアークロイドが口を開く。
「先ほど見たときも思ったが、ここの湖面は透明度が高いな。中が透き通っていて、とてもきれいだ」
「……お褒めにあずかり、光栄です。昔の言い伝えでは、ここは女神の水浴び場だったそうです。水温もそれほど低くなく、空気も澄んでいて、癒やしスポットとして人気なんですよ」
「なるほど。確かに、ここは別世界のような美しさがある」
アークロイドの横に座ったところで、シェフが焼きたてピザを運んできた。なんとも食欲をそそる小麦とチーズの匂いに、腹の虫がぐうと鳴る。
「くくっ……お前のお腹は素直だな」
「そ、そんなに笑うことないじゃないですか! ルース様も!」
静かに肩を震わせている彼の従者を指さすと、アークロイドがその手を優しくつかむ。
「悪い悪い。ルースも悪気があったわけじゃない。それより、せっかくの料理が冷えてしまう。まずは食べないか?」
「……わかりました」
渋々頷くと、つかまれていた手がそっと解放される。
バジルの葉が散らされたチーズたっぷりのピザは右半分が牛肉ときのこ、左半分が生ハムとトマトがトッピングされている。
シャーリィは切れ目にそって手で千切り、熱々のうちに口に頬張る。じゅわりと溶けたチーズと具材が口の中で絡み合い、幸せを感じる。ふんわりと膨らんだ生地も食べごたえがある。
頬に手を当てて美味しさをかみしめていると、アークロイドとルースも続いた。
彼らがピザを一口かじった瞬間、驚いたように目を瞠る様子を見て、勝ったと内心ガッツポーズをした。それから無心に食べるのを横目で見ながら、シャーリィも無言で味わう。
食後のシャーベットとコーヒーが運ばれてきて、アークロイドが思い出したようにシャーリィに視線を合わす。
「そういえば、前にツアーがどうの言っていたが……他におすすめはあるのか?」
「お待たせしました。メニューはその日の仕入れによって異なりますので、基本的にシェフお任せとなっておりますが、何かご要望はありますでしょうか?」
湖が見える窓際の席で待っていたアークロイドたちに問いかけると、案の定、首を横に振られた。
「特にはない。腹を満たせられれば、それで問題ない」
「さようでございますか」
あまり期待はされていないような口ぶりに、シャーリィは内心歯がみしそうになる。
(くっ……弱小国だと侮られている気がするわ! 石窯で焼き上げたピザのとりこになるがいいわ!)
負け惜しみを心の中で叫んでいると、湖を見つめていたアークロイドが口を開く。
「先ほど見たときも思ったが、ここの湖面は透明度が高いな。中が透き通っていて、とてもきれいだ」
「……お褒めにあずかり、光栄です。昔の言い伝えでは、ここは女神の水浴び場だったそうです。水温もそれほど低くなく、空気も澄んでいて、癒やしスポットとして人気なんですよ」
「なるほど。確かに、ここは別世界のような美しさがある」
アークロイドの横に座ったところで、シェフが焼きたてピザを運んできた。なんとも食欲をそそる小麦とチーズの匂いに、腹の虫がぐうと鳴る。
「くくっ……お前のお腹は素直だな」
「そ、そんなに笑うことないじゃないですか! ルース様も!」
静かに肩を震わせている彼の従者を指さすと、アークロイドがその手を優しくつかむ。
「悪い悪い。ルースも悪気があったわけじゃない。それより、せっかくの料理が冷えてしまう。まずは食べないか?」
「……わかりました」
渋々頷くと、つかまれていた手がそっと解放される。
バジルの葉が散らされたチーズたっぷりのピザは右半分が牛肉ときのこ、左半分が生ハムとトマトがトッピングされている。
シャーリィは切れ目にそって手で千切り、熱々のうちに口に頬張る。じゅわりと溶けたチーズと具材が口の中で絡み合い、幸せを感じる。ふんわりと膨らんだ生地も食べごたえがある。
頬に手を当てて美味しさをかみしめていると、アークロイドとルースも続いた。
彼らがピザを一口かじった瞬間、驚いたように目を瞠る様子を見て、勝ったと内心ガッツポーズをした。それから無心に食べるのを横目で見ながら、シャーリィも無言で味わう。
食後のシャーベットとコーヒーが運ばれてきて、アークロイドが思い出したようにシャーリィに視線を合わす。
「そういえば、前にツアーがどうの言っていたが……他におすすめはあるのか?」



