お土産屋さんは、私が今いる大通りから少し離れたところにあった。



「えっと、ここを左…?」

携帯のマップアプリを見ながら、方向音痴の私はゆっくりと歩いていく。


「…あれ?この通りにあるはずだけなんだけど。」


通りには全くお土産屋さんらしきものは見当たらない。

携帯を見る。目的地と反対方向に矢印が進んでいた。

「私、また間違えた?」

頭の中で、さっきの友人の笑い声が聞こえる。



とりあえず、来た道を戻ろうかな。

このままだと、お土産屋さんにたどり着かない。


私は大きく頷くと、ガラガラと再びキャリーバックを引きながら歩き出した。



突然、ふわりとした優しい風が吹いた。

私の目の前にひらひらと桜の花びらが一枚だけやってきて、落ちた。


「桜の花びら…?」

どこから?と私は首をかしげた。

周りには桜の樹はどこにもないのに。



私はしゃがみこんで、桜の花びらを拾い上げた。

「あれ…?」

何か、思い出しそうな気がする。