初恋リンゴ

「ね、今日の世界史の授業さ、寝てた?」

「え?なんで分かるの、怖!」

「テオドシウスのあたりで、、僕も寝

た。」

「私も、そこあたりからプリント書けて無

かったなそういえば。古典もかしとかばやとかのあたりは睡魔と戦って

たな、、」

「そうか、、」

とか言いながら、勉は内心少しびっくりだった。自分と全く同じだ。

「ところでさ、古典って若干授業崩壊してるよね、あれ。」

ポロリと本音をはいてしまったようなあきれた口調で彼女がつぶやく。

確かにそうだった。1部の授業では、クラスのカースト上位層の女子た

ちが先生の悪口をひそひそ言ったり、全然関係ない科目を堂々としてい

たりして、その女子達を中心にその雰囲気は全体に広まっていた。

今や古典の授業など定期的に笑い声がどこかで聞こえる。

なるほど、今思うと、笹宮の席はその中心部の女子に囲まれていた。

「確かに、周りのメンバーがなんかきつそう。あ、そうでもないの

か。」

すると、彼女は眼をぱちくりさせる。

「、、そうでもないって?」