初恋リンゴ

一体、自分は何をされているんだろうか、

分からなくなった。

もしかしたら、勉はからかわれて内心ちょ

ろいもんだと馬鹿にされているのかもしれ

ない。

この女は、男子の心を掴みとるテクニック

を知っていて、使えそうと思ったら利用し

ている?

そんな考えがふと頭に浮かんだ。

いや、でも確かに二人の趣味はぴったし一

致した。それはさすがに全て意図的に当て

るなんて不可能だろう。



「あ、あの本返すね。」

月乃は先週勉が貸した本をランドセルから

取り出す。

「あ、どうだった?」

「めちゃくちゃ、私あの終わり方は本当に

しんみりぐっと来た!あんな終わり方する

なんて思ってなかった。思ってた?もう本

当に鹿の王大好き前に出たスピンオフの

~」

そうやって熱弁する姿は、どうにもつくっ

たように思えなかった。可愛かった。

そうだ。たとえ計算している所があって

も、月乃が好きなのは事実だ、と、そう思

い、今はこの思いを深く心にしまっておこ

うと思った。



















あんな想定外の事が、起こるまでは。