初恋リンゴ

「、、ありがとう。」

言われた後、何を返せばいいのか分からなくて首をかしげると、笹宮は

少し笑っていた。そしてなぜか勉も笑った。

それから、勉は、前から借りたかった本を見つけて貸し借り案内のおば

さんの所まで持って行った。

すると、おばさんもなぜか少し苦笑した。もう60代ほどだったので、笑

うとしわがはっきり見えた。

「どうしたんですか?」

「いや、おかしいんだよ。とても。」

「どういう事ですか?」

「ちょっとおいで。」

勉は席全体が見える位置に手招かれた。

「あんた、あの女の子とは知り合い?」

おばさんは笹宮を指さした。

「え、クラスメイトですけど、、、、」

「あの子がつい最近まで借りていて今日戻した本を、今あんたが借りよ

うとしているんだよ。それであんたがちょっと前に返した本を、さっき

あの子が借りたんだ。前もそんな事があったよ。ふふふ。」

と、おばさんに背中をポン、と突かれた。

反応をなんとなく見たくて、今日まで笹宮が借りていたとかいう本を、

本人の前で大きく広げて読んでみた。する

と、すばやくそれは彼女の目を釣った。

「それ、、」

「よく読むの??」

「うん、このシリーズハマってて、、」

「え、それ大好き!」

傍から見るととても仲の良い男女に見えて

いただろう、そういう目では見られたくな

かったので、図書室の前の廊下でお互いが

好きな小説やシリーズの話をするようにな

っていったのだ。