あなたの願い、残酷に叶えます。

そう言う声が震えて、ブワリと涙が浮かんできた。


咄嗟にあたしはまた紗弓の体を抱きしめていた。


別れたんだ……。


そう思うと、自然と笑顔があふれ出してビックリした。


あたしは紗弓の親友だ。


親友の幸せを願えるものとばかり思っていたのに、あたしは今嬉しさを感じている。


そんな自分の感情に戸惑った。


でも……。


こうして紗弓を抱きしめていることに幸せを感じた。


ずっとずっと、こうしていたいと思った。


紗弓を泣かせる相手なんかいらない。


あたしが紗弓を幸せにする。


そんな風に思った時、あたしはようやく自分の気持ちに気がついた。


そうだったんだ。


あたしの気持ちはこっちだったんだ。


友達とか、親友じゃなくて、もっともっと親密になりたいと思っていたんだ。


あたしはそっと紗弓の髪の毛をなでた。


ゆっくり、優しく。


柔らかくて少しクセのある紗弓の髪の毛は、丁寧に扱わないとすぐにもつれてしまうから。


そして気がつかれないよう、その髪にキスをした。


「大丈夫だよ紗弓。紗弓にはあたしがいるからね」


あたしはそう囁き、その日はずっと紗弓と一緒にいたのだった。