「なに?」


里奈はそこに立っているだけで絵になった。


西日の届かない、ジメジメとした校舎裏でも里奈が立っているだけでそこは有名観光地のようになる。


自分だけでなく、周りの景色まで輝かせる力が里奈には備わっていると感じていた。


「急に呼び出してごめんね」


俺はできるだけ申し訳なさそうに言い、頭をかいた。


「ううん。今日は予定がないから大丈夫だよ」


俺を気遣ってそんなことを言ってくれる里奈に鼓動が速くなっていく。


今さらだけど里奈の声もまるで鈴の音色のように心地いい。


「で、話ってなに?」


里奈が小首をかしげて聞く。


その表情が、その仕草が、その声が。


今は自分だけに向けられているのだと思うと、嬉しくて自然と笑みがこぼれた。


「あの……俺さ……」


さすがに恥ずかしくて、うつむく。


顔がカッと熱くなるのを感じた。


「なに?」


「俺、里奈のこと好きなんだ!」


今までずっと言えなかったこと。


心の隠しておいた感情を一気に吐き出す。