あなたの願い、残酷に叶えます。

「ちょっと待って!」


充男が返事をしてあたしに視線を戻す。


「なに?」


聞かれて、あたしはゆっくり、左右に首を振った。


終わったと思った。


あたしは助かるチャンスをみすみす逃してしまったのだ。


充男の力を借りれば、充男の手を握れば、なにかが変わるかもしれないのに。


「本当に、なにもないのか?」


なぜか充男の声は泣きそうだった。


あたしは驚いて充男を見つめる。


「どうしてそんな顔を……?」


その質問に答えることなく、充男は教室を出ていったのだった。