あなたの願い、残酷に叶えます。

声が大きくなる度に、女の姿が近付いてくる。


左右に体を揺らし、長い髪の毛が顔を隠している布の下から見えている。


それは確実に充男へ近づいて行く。


「充男!!」


知らない間に真美が涙を零していた。


画面に張り付くように接近して、充男の名前を呼び続けている。


「充男、後ろ!」


景子が叫ぶ。


「充男!」


全員が充男の名前を呼んでいた。


このままじゃまずい。


早く気がつけ。


早く後ろを向け!


そんな思いで叫ぶ。


しかし充男は動かない。


画面はピタリと止まったままで、あたしたちの声が聞こえているのかどうかも判断できない。


どうか部屋の外へ逃げていて。


お願いだから……!