あなたの願い、残酷に叶えます。

その時、充男の部屋のドアに白い手がかかったのを見た。


「ひっ!」


それが画面上からでも、生きた人間のものではないと、咄嗟に理解できるほど細く、白い。


骨を皮だけのようなその手はドアを押し開き、その奥には白いワンピースを着た女の姿を確認することができた。


「み、充男……? その人、誰?」


景子が聞く。


しかし、充男はまだ動かない。


自分は関係のない場所にいるのに、一気に室温が下がった気がして強く身震いをした。


足先が異様に冷たい。


女が完全にドアを開ききった時、ノイズ交じりだった声が大きく聞こえるようになっていた。


ね……を……やって……。


ね……を……やって……。


ね……を……やって……。


音は大きくなったのに、同時にノイズも大きくなり、更に不快な気分にさせられる。


あたしは思わず両耳をふさいでいた。