ハッと息を飲み我に返った。


周囲を確認してみると、ここはいつもの自分の部屋だとわかった。


机の上に置いてあるタブレットは暗転していて、ひとまず胸をなでおろす。


「今のはなんだったんだ? 夢……?」


確か今日はオンライン授業をしていた日だ。


それが急に回線がおかしなことになって、6人の姿しか見えなくなった。


紗弓と、景子と、真美と、航大と、翔と、充男。


俺からはこの6人の姿が見えていたけれど、6人からは俺の姿が見えていなかったんだっけ。


それからえっと、なにがあったんだっけ?


思い出そうとすると頭が痛くなって、両手で抱え込んだ。


なにかヒドイことが起きた気がする。


画面上で次々と……。


一瞬、真っ赤に染まった画面を思い出して吐き気がこみ上げた。


なんだこれ。


なんの記憶だ?


思い出しそうで思い出さない。


思い出したいけれど、思い出したくない。


よくわからない感情に支配され、俺は部屋を出た。