あなたの願い、残酷に叶えます。

だから走った。


本当は川に入って血を洗い落したかったけれど、それもせずに走る。


手にクワを持ったまま。


もう必要ないクワを持ったまま。


そしてたどり着いたのは山の中だった。


あたしは愕然としてその場に膝をつく。


地面は腐葉土が溜まっていてフワフワしている。


あぁ、結局戻ってきちゃった。


そんな気分になった。


あれだけ村に帰りたいと願っていたのに、どうして自分は山へ戻ってきてしまったんだろう。


なんだか悔しくなって、枯れ葉をギュッと握りつぶす。


チクチクとした感触が手のひらに伝わってきて、どうして自分はまだ生きているんだろうと疑問が浮かんできた。


あたしにはもう帰る場所はない。


あたしがこの手であの村を壊してしまったから。


フラリと立ち上がり、近場の木を見上げた。


樹齢何年だろうか。


とても立派な木だった。