あなたの願い、残酷に叶えます。

「アズミ!」


声が聞こえて振り向くと、5人の大人たちが駆け寄ってくるところだった。


その中の3人は婿にきた男だ。


「畑が……」


あたしはそれだけ言い、奥歯を食いしばった。


言葉が続かない。


みんなで育てた作物は全部盗まれてしまった。


「畑はまだどうにかなる。それより、ここにいたら危ない」


「どうして?」


「山賊はまだ近くにいるかもしれない」


そう言われてあたしは周囲を見回した。


辺りには誰の姿もない。


燃やされていない家々からも、人が出てくる気配はない。


みんな怯えているのだ。


家から出ることもできないほどに。


「さぁ、行こう」


男に手を引かれ、あたしは渋々歩き出す。


どうしてこんなことになったんだろう。


この村の人たちはみんないい人ばかりで、働きものなのに。


悪いことなんてしていないのに。