それを山賊たちはいとも簡単に奪い取って行った。


あたしたちが培ってきたものを簡単に壊したのだ。


荒らされた畑を前にして奥歯を噛みしめる。


あたしはこの村で生まれて、この村で育った。


でも、両親はあたしが乳飲み子の時に死んでしまった。


母は出産に耐えきれず。


父は結核にかかって。


産まれた瞬間から天涯孤独になったあたしに、村の人々は優しかった。


「アズミちゃんは天使だ」


「村の誰よりも綺麗で可愛い。大事な大事な財産だ」


そう言って育ててくれた。


だからあたしにとってこの村はみんなが肉親、家族同然だった。


それなのに……!


13年間一緒に育ってきた少女たちも山賊に連れ去られていった。


それより大きなお姉さんも、もっと小さな妹のような子たちも。


山賊たちはこの村に女が多いことを知っていたのかもしれない。


襲いやすいと考えてきたのかもしれない。