この村では昔から、女子ばかりが生まれるという不思議な現象が起きていた。


そのためこの村の男たちはみんな外から婿にきてくれた人ばかりだった。


といっても、女子しか生まれない不思議な村なのでいくら男が婿入りしてもその人数は少ない。


女子の半分にも満たない状態だった。


農業を生業としているこの村では猟銃を持っている人間も少ない。


武器を持って立ち向かうには、心もとない農機具くらいしかないのだった。


おまけに戦うのは大半が女たちだ。


男がいない村で強くなったと言っても、20人の山賊を相手にするのは気が引けた。


かと言って、このまま若い女を連れ去られたままでは、この村の農業は破たんしてしまう。


なにせ人手がなくなってしまうのと同じことなのだから。


あたしは人々の話を聞いた後、1人で集会場を出た。


とにかく今の畑の現状を見ておこうと思ったのだ。


昨日山賊に襲われて使いものにならなくなった畑も多い。


なかには家ともども畑を焼かれた場所もあるという。


着物の裾をたくし上げて畑までひた走る。


そこにはこの村に暮らす人々の苦労と汗が滲んでいた。