あたしが生まれた村は○○県と××県の県境にある、小さな場所だった。


山と山とに囲まれている盆地に100人ほどの人が肩を寄せ合って暮らしていた。


村の真ん中には川が流れていて、そこで魚を取ったり、水を引いて田んぼを作って生計を立てていた。


どこにでもある平凡な村。


村のみんなが顔見知りだと言ってもいいくらい仲がいい。


なにかあれば助けあい、協力するのが当たり前だった。


そんな村に、山賊が現れた。


20人ほどの徒党を組んで現れたそいつらは、当たり前のように村の作物を荒らし、家に火を付けて人々の財産を奪い取った。


あっという間に村の半分の家は焼かれ、若い女がいた家は娘を連れ去られてしまった。


「これから先どうすればいいか……」


山賊に襲われた翌日、家を失った村の人々は集会場に集まってきていた。