あなたの願い、残酷に叶えます。

音がして、あたしは大きく目を見開いた。


勢いに任せてドアを押し開く。


とても重たくて、全く開くことなどできなかったそれが、安易に開いたのだ。


ここ数時間見ていなかった廊下の景色が現れて一瞬泣きそうになった。


「あ……」


あたしは恐る恐る最初の一歩を踏み出した。


自分の右足が難なく廊下に出たのを確認すると、逃げるように部屋から飛び出していた。


そして一気に階段を駆け降りる。


「お母さん、お母さん!!」


叫びながらリビングのドアを開く。


しかしそこには誰もいなかった。


あたしは体の力を抜きながら家の中を探し回った。


どこにもお母さんの姿はない。


もしかしたら買い物へでかけたのかもしれない。


リビングで帰りを待っていようかと思ったが、家の中にいることが息苦しく感じられた。


自分の部屋に戻ることだってできない。


迷った末、あたしはなにも持たずに家を出た。


財布もスマホもないけれど、それを手にするためにはまた部屋に戻らないといけない。


それだけは嫌だった。