そうやって突然カミングアウトされても、俺は何と返事をすればいいかわからなかった。


偏見をもっていたわけじゃない。


ただ、そういう人に会うのは初めてだったから、驚いた。


「軽蔑する?」


「そんな、まさか」


俺は左右に首を振った。


軽蔑なんてしない。


女性同士だろうが、男性同士だろうが、お互いの気持ちの問題だ。


「それで、航大は?」


そう聞かれてまたも黙り込んでしまった。


「紗弓のことどう思う?」


その質問にドキリとした。


景子は俺の気持ちに気がついているのだ。


俺と景子はライバル。


だから今日ここに呼び出されたのだ。


ようやく理解して、大きく息を吐きだした。


正直景子に呼び出された時、無駄にドキドキしてしまったのだ。


当然だろう?


放課後、ひと気のない体育館裏に女子生徒と2人。


これでドキドキしないヤツなんていない。


「あぁ、うん。好きだ」


俺は頷いて答えた。


「だよね、やっぱり」


景子は自分を納得させるように何度も、うんうんと頷いている。