「話ってなに?」


体育館裏のひと気のない場所で、俺はソイツへ向けて聞いた。


ソイツは腕組みをして俺をジッと睨みつけている。


俺、なにか悪いことしたっけ?


なにも覚えがなくてうろたえる。


「あんた、紗弓のこと好きでしょ」


なんの前触れもなくそう聞かれて、思わず頷いていた。


「やっぱり……」


ソイツは、はぁと大きなため息を吐き出す。


それ見てムッとしてしまった。


「あたしも、紗弓のことが好き」


ソイツ、景子は躊躇なく言った。


「え?」


俺はキョトンとして景子を見つめた。


「それって、あの、どういう?」


「こんな場所に呼び出してるんだから、わかるでしょう?」


景子は相変わらず腕組みをしていて、強い視線を俺に向けたままだ。


景子の言う好きは恋愛感情での好きだと、このときはじめて気がついた。