高校1年生のころ、俺は里奈に彼氏を寝取られて落ち込んでいる紗弓を見かけたことがあった。


グッタリと今にも倒れてしまいそうなほど傷ついていた紗弓。


俺は何度声をかけようかとも思ったが、うまくいかなかった。


紗弓は可愛いと人気の生徒だったし、クラスの違う俺なんかが声をかけていいのかどうかもわからなかった。


それになにより、紗弓の隣にはいつも景子がいたのだ。


景子は紗弓が失恋のショックで学校を休んだ日、ずっと一緒にいてやったらしい。


そんな2人を見ていると、男の俺が邪魔をしてはいけないという気分になった。


そして2年生に上がったとき、運よく俺は紗弓と同じクラスになれたのだ。


同じクラスなら会話できる可能性は格段に上がる。


ただの挨拶から、ちょっとした雑談に。


席が隣になったときには意外と沢山会話ができたと思う。


紗弓と会話しているときの俺は本当に幸せな気分になれた。


なにより、紗弓が笑顔でいてくれることがなによりも嬉しかった。


でも、そんな時だった。


俺は放課後、意外な人物から呼び出されることになった。