それに比べて他の子たちはどうだろう。


適当に塗っただけのファンデーションはムラができている。


唇は乾いてカサカサ。


アイライナーはガタガタで塗らない方がマシ。


努力していないことは一目瞭然だった。


元々美人だと言っても、努力しなければ地味で目立たない存在になる。


あたしはクラスメートの紗弓へ視線を向けた。


たとえば、紗弓もそういう子の一人だ。


素材自体はそんなに悪くないと思う。


目はクリッとして大きいし、フワリとした女の子らしい髪の毛も男子なら好きそうだ。


それなのに紗弓はさして努力をしていない。


自分なんてこんなものだと決めてかかっているのかもしれない。


パックなんてしたことがないのだろう、冬になると紗弓の頬は少し乾燥し、粉をふく。


そんな子を見ているとあたしの気持ちはうずいてくる。


もっとどうにかすればいいのに。


いっそあたしが教えてあげようかとも。


でも、紗弓にはそれができなかった。


1年生のころ紗弓の彼氏を取ってしまったからだ。