真美は観念したように、震える指で文字を書いていく。


《残酷様おこしください》


血文字で書かれたそれは禍々しく、見ていると背筋が寒くなりそうだった。


でもこれでいい。


これが残酷様を呼ぶための儀式なのだから。


ようやく航大から解放された充男が顔をしかめて腕をさすっている。


あたしは文字の下に赤いペンでハートマークを書いた。


更にその下には黒いペンで《このハートをささげます。願いを叶えてください》と書いていく。


このハート。


つまり、血文字を書いた人間の心臓ということだ。


簡単に言えば、この儀式のイケニエだ。


あたしたちがやったアレとは、残酷様を呼ぶための儀式。


アレは失敗したかに見えた。


だけど里奈は殺された。


あたしたちが残酷様に願ったとおりに……。