日ごろからイジメておいて正解だった。


それでも念のためにと、翔が真美の体を後ろから羽交い絞めにした。


「や、やめて!」


真美はか細い声で抵抗する。


でも、その声は誰にも届かない。


どれだけ叫んでも、先生も生徒もほとんどいない校舎内ではほとんど無意味だ。


あたしは真美の指先にカッターナイフの刃を近づける。


「やめて!!」


珍しく真美が大きな声を上げる。


同時にあたしは真美の人差し指の腹を切りつけていた。


「っ!」


真美が痛みで顔をゆがませる。


指先から血がにじみ出て、翔が力を緩めた。


真美はその場に崩れ落ちそうになっている。


「書いて」


あたしは短く指示を出し、真美の前に紙を置いた。