「あいつは残酷様だ」


航大が苦しげな声で言った。


「え……」


「俺たちはイケニエを出すタイミングを間違えた。だから残酷様は帰らなかったんだ」


「そんな……」


里奈が本当に死んでいるのなら、おとついのアレは成功していたことになる。


成功していたのに、あたしたちはイケニエを渡さなかったことになる。


だから残酷様は、関係者であるあたしたちを殺しに来た……?


「でも、だって、アレはただの都市伝説じゃん」


「都市伝説だけど、本物だったんだ」


「どうして? 里奈が死んだのはあたしたちのせいだってこと?」


「きっとそうなんだろう」


「でも、でも……!」


こんなことになるなんて、思っていなかった。


残酷様が本当にいるなんて思っていなかった。


アレは単純に自分の気を晴らすためだった。


里奈への復讐というより、ただの自己満足のためだった……。